相続人として妻と長男がいますが、長男の娘にも財産をのこしたいと思っています。孫が成人したときに遺贈したいと思っていますが、可能ですか?

回答

成人したときを始期として孫に遺贈することが可能です。ただし、遺贈の内容が、相続人の遺留分を侵害している場合は、遺留分侵害額の請求がなされたとき、それに応じる必要があります

第〇条 遺言者は遺言者の孫が満20歳に達する日である、平成〇年〇月〇日に、同人に下記の財産を遺贈する。

 

遺贈

相続人でない者に、財産を譲るためには、遺贈の方法をとることができます

遺贈とは、被相続人が遺言によって無償で自己の財産の全部または一部を譲る処分をいいます。遺言により、遺贈を受け取る者として指定された者を受遺者といい、受遺者となり得る者に特段の制限はなく、法人でもなることが出来ます。

上記事例では、妻と子である長男が法定相続人となり、孫に相続権はなく、孫に財産をのこしたい場合には遺贈の方法をとることになります。

ただし、仮に相続開始時に、長男が亡くなっている場合は、孫は代襲相続人となり、財産が相続されることになります。

遺贈による遺留分の侵害

遺留分権利者(兄弟姉妹以外の相続人)から遺留分侵害額を請求された場合には、遺留分を侵害している受遺者や受贈者はこれに応じて、遺贈された財産の価額を限度として遺留分侵害額に相当する金銭を負担しなければなりません

上記文例において、遺留分侵害額請求がなされた場合には、長男の娘は、遺贈の目的物の価額を限度として、遺留分侵害額を支払う金債債務を負うことになります

紛争が生じる恐れがある場合は、他の相続人の遺留分を侵害しないように、他の相続人にも一定の財産を相続させることを検討することが望ましいといえます。

期限付遺贈

遺贈の効力の発生、または消滅が将来発生することが確実な事実に係る遺贈を期限付遺贈といいます。到来することが確実である将来のある時期に遺贈の効力を発生させること、また将来のある時期に遺贈の効力を失わせることが可能です。

遺言執行者の指定

遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言執行に必要な一切の行為をする権利権限を有しています。また、遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができるとされています。つまり、財産を遺贈する場合、履行義務者は、一義的には相続人や受遺者となりますが、遺言執行者を指定した場合には遺言執行者のみに限られます。

また、遺言において遺贈や相続分の指定があった場合であっても、その相続による権利の承継は、法定相続分を超える部分については、登記、登録、通知その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができないとされています。

不動産や債権等の相続財産がある場合には、さまざまな手続きが必要となるため、トラブルが生じる恐れがある場合や、相続財産が複雑で多額に及ぶときなどは、遺言を確実に実現し、相続人間で争うことなく円滑に手続きを進めるためも、法律専門家である弁護士を遺言執行者に指定しておくことをお勧めいたします

当事務所の遺言書作成

当事務所は、多くの遺産分割協議案件を扱い、相続が紛争になった時の対応に多くのノウハウを有しており、このような紛争時の多くのノウハウを活かし、紛争を予防するための遺言作成を得意としています。

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