長男がまともな職に就かず、賭け事や飲酒遊興に明け暮れているため、推定相続人から廃除しましたが、長男が定職に就き、素行が改まれば、廃除を取り消したいと思います。そのような条件をつけることは可能ですか?

回答

下記文例のように、廃除の取消しの条件を具体的に明示し、廃除の取消しに一定の条件を付することも許されるとされています

遺言により廃除の取消しをする場合は、遺言執行者を定めておくべきといえます。

遺言執行者が条件を満たしたと判断したときに、家庭裁判所に廃除の取消しを申立てることになります。

第〇条 長男は、まともな職に就かず、競輪、競馬等の賭け事や飲酒遊興に明け暮れていたため、遺言執行者の推定相続人から廃除されていた。しかし、長男が定職に就き、賭け事や飲酒遊興を辞めてまじめな生活を送ることを条件として、その廃除を取り消す。

第〇条 遺言者は、この遺言の執行者として、次の者を指定する。

住 所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
職 業 弁護士
氏 名
生年月日 昭和〇〇年〇〇月〇〇日生

 

条件付き廃除の取消し

遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となる者)が、被相続人に対して虐待をしたとき、重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができます

廃除とは、相続権をはく奪することをいい、推定相続人の廃除が認められた場合は推定相続人の遺留分をも否定されます。

被相続人は、いつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができるとされています。遺言書にその意思表示をしておくことによっても廃除の取消しが可能です。

そして、上記文例のように、遺言者は廃除の取消しに一定の条件を付することも許されると解されており、遺言執行者がその条件を満たしたと判断した場合、家庭裁判所に廃除の取消しを請求することになります。

そのため、条件については、出来るだけ具体的に明示しておく必要があるといえます。

遺言執行者の指定

推定相続人の廃除、または廃除の取消しを行う場合は、必ず遺言執行者の指定が必要となるため、遺言によって予め遺言執行者を定めておくべきといえます。

遺言により廃除の取消しを行う場合、遺言執行者が裁判所に請求しなければならないとされており、遺言執行者は、裁判所より廃除の取消しの審判が確定し、又は調停が成立したときは、被相続人の死亡時に遡ってその効力が生じ、その旨戸籍の届出をする必要があります。

相続人間でトラブルが生じる恐れがある場合や、相続財産が複雑で多額に及び、さまざまな手続きを要するときなどは、法律専門家である弁護士を遺言執行者に指定することをお勧めいたします。

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