前妻との間の子に学資の援助をしたため、後妻との間の子に多く相続させたいと考えています。どのような遺言を遺せば良いですか?

回答

下記文例のように共同相続人の相続分を指定することが可能です。ここで、相続人間のトラブルを予防するために、各相続人の遺留分を侵害しないよう配慮して指定するのも方法です。

また、贈与を考慮して相続分を指定したことについて記載し、特別受益の持戻し免除の意思を示しておくことが望ましいといえます。

第〇条 遺言者は、次のとおり、各相続人の相続分を指定する。
妻  2分の1
長男 8分の1
次男 8分の3

第〇条 遺言者は平成○○年〇月〇日、長男に対して大学入学費と学費として金400万円を贈与しており、次男はこれから大学に進学する立場であるためこのような援助はしていない。このような特別受益を考慮し、前条のように定めたものであり、長男の特別受益について考慮済みである。

 

相続分の指定と遺留分

被相続人は遺言で、法定相続分とは異なる割合で共同相続人の相続分を定めることができます。

ただし、遺言による遺留分を侵害する相続分の指定について、遺留分権利者(兄弟姉妹以外の相続人)から遺留分侵害額の請求をされた場合には、法定相続分を超える指定を受けた相続人はこれに応じて遺留分侵害額に相当する金銭を負担しなければなりません

本事例のように、相続人が妻、長男、次男の3人の場合の長男の遺留分は、2分の1に子の相続分である4分の1を乗じた8分の1となります。

遺留分を侵害する割合での分配を希望しても、それにより相続人間でトラブルが予想されるような場合は、上記文例のように、遺留分に相当する財産だけ各相続人に相続するよう指定しておくのも方法です。

特別受益

特別受益とは、共同相続人のうち、被相続人から贈与を受けたり、婚姻や養子縁組のため、もしくは生計の資本として贈与を受けた者がいる場合にその相続人の受けた利益のことをいいます。その特別受益を受けた相続人を特別受益者といいます。

特別受益者の相続分は、原則として、特別受益者が受けた特別受益の価格を遺産に持戻したものを相続財産として各相続人の相続分を算出し、この特別受益の価格を相続分から控除した残額とされています。つまり、相続財産の前渡しを受けたものとして、その特別受益者の相続分を減らすことになります

なお、遺留分算定の際には、原則として、相続開始前の10年間にした特別受益のみ被相続人の基礎財産に加算されます。ただし、遺留分権利者が受けた特別受益については、相続開始前の10年間にされたものに限定せず、遺留分侵害額算定の際に控除されます。

特別受益となる財産

特別受益となる財産は、遺贈や、婚姻や養子縁組のため、若しくは生計の資本として贈与された財産とされていますが、どのような贈与がこれに当たるかは、相続人間の公平を考慮し、被相続人の資産、収入、家庭状況等を考慮して総合的に判断するべきとされています。

上記事例のほか、事業資金の援助や、生活費貸与分の債務免除などは、「生計の資本としての贈与」として特別受益にあたるとされています。

ここで、普通教育以上の学費が贈与に当たるか問題になることがありますが、親の資産、社会的地位を基準として、どの程度の高等教育をするのが相応かを判断し、扶養義務の範囲を超えた不相応な学資のみが特別受益として考慮される傾向にあります

また、相続人全員が大学に進学し、既にほぼ同額の受益を受けている場合は、特別受益として考慮しないとされます。

特別受益の持戻しの免除

特別受益の持戻しは民法で定められていますが、民法の定めと異なる意思表示をした場合、つまり持戻しを免除した場合は、その意思表示に従って相続することが可能です。

持戻しを免除する意思表示の方式に特別な制限はなく、遺言書に特別受益の持戻し免除の記載がない場合であっても、被相続人から特定の相続人へ生前贈与があったにもかかわらず、この贈与に言及することなく、遺言で相続分を指定したときなどは、特別受益の持戻を免除する趣旨であると判断されることも少なくないと思われます。

しかし、トラブルが予想される場合には、持戻し免除の理由を付して、明確に遺言書において意思表示をすることが望ましいといえます。

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