妻と長男、長女がいます。それぞれ異なる割合で相続させることは可能ですか?
回答
下記の文例のように、妻に法定相続分である2分の1より多くの財産を相続し,長男と長女で残りをそれぞれ異なる割合で相続させるような遺言書を作成することが可能です。
第〇条 遺言者は、次のとおり各相続人の相続分を指定する。
妻 15分の8
長男 15分の4
長女 15分の3
遺言による相続分の指定
相続分とは、共同相続人の相続財産全体に対する各相続人の持ち分をいいます。
被相続人が遺言を作成しなかった場合は、相続財産は法定相続分の規定(民法900条・901条)に従って配分されますので、妻1人、子2人の場合の法定相続分は、妻が2分の1、子がそれぞれ4分の1となります。
被相続人は、遺言で、法定相続分とは異なる割合で共同相続人の相続分を定めることができます(民法902条1項)。この相続分の指定は、必ず遺言によらなければなりません。
遺言で相続分が指定されたときは、法定相続分の規定に優先して適用されます。
相続分の指定と遺留分
ただし、遺言による遺留分を侵害する相続分の指定について、遺留分権利者から遺留分侵害額の請求がなされた場合には、法定相続分を上回る相続分の指定を受けた相続人は、これに応じなければなりません。
相続分の指定により遺留分を侵害された相続人が、遺留分を侵害している受遺者や受贈者、他の相続人に対してその遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することを遺留分侵害額の請求といいます。
なお、本事例のように相続人が妻と子2人の場合の遺留分は、妻が4分の1、子がそれぞれ8分の1となりますので、上記遺言は遺留分を侵害しておらず、このような問題は起こりません。
一部の相続に対する相続分の指定
一部の相続人についてだけ相続分を指定することもできます。その場合は、相続分の指定を受けなかった他の相続人の相続分は法定相続分によって定まることになります。
しかし、そのような場合、相続開始後に相続人間での混乱を招くことになります。一部の相続人のみを指定することは避けて相続人全員の相続分について指定しておくことをお勧めいたします。
当事務所の遺言書作成
当事務所は、多くの遺産分割協議案件を扱い、相続が紛争になった時の対応に多くのノウハウを有しており、このような紛争時の多くのノウハウを活かし、紛争を予防するための遺言作成を得意としています。
将来、相続が紛争化しないよう、しっかりとした予防策を講じたいとお考えの方は、是非当事務所にご相談ください。必ずお力になります。