建物と借地権を同居している長男に相続させようと考えていますが、建物の持分は私が4分の3長男が4分の1、借地権の持分は借地契約書において、私が4分の3、長男が4分の1として契約しています。この場合、借地権の相続はどのように記載すればよいですか?

回答

建物の共有持分を相続させる旨だけでなく、借地権の共有持分も相続させる旨を、遺言書において明示しておくべきです。

また、建物と借地権は、それぞれ特定できるように下記文例のように、記載します。

第〇条 遺言者は、遺言者の有する下記建物及び借地権の共有部分を、遺言者の長男に相続させる。

(1)建物
所在  〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番地
家屋番号 〇〇番
種類  〇〇
構造  ○○
床面積 ○○.○○平方メートル
共有持分 4分の3
(2)借地権
対象土地  〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目
地番  〇〇番
地目  〇〇
地積  〇〇.〇〇平方メートル
権利の性質 借地権
賃貸人  〇〇(住所〇〇)
共有持分 4分の3

 

建物と借地権の相続

借地権も相続財産として、相続人に相続されることになります。

遺贈により、相続人以外の方に借地権を承継させる場合には、地主の許可が必要ですが、相続人が借地権を取得する場合には、地主の許可は不要であり、新たに借地契約を結ぶ必要もなく取得した旨を地主に通知すればよいとされています。

借地権の内容の特定は、上記文例の他、賃貸契約の締結日、賃料の定め等を記載しておくことも有用です。

建物と借地権は主物と従物の関係にあり、民法において、従物は、主物の処分に従うと規定されていることから、建物の共有持分を遺言により特定の相続人が取得した場合は、その従物である借地権もその相続人に移転することになります。

上記事例において、遺言により建物の共有持分を長男に相続させる旨だけ記載しても、借地権はその建物の取得と同時に長男に移転することになります。

しかし、上記の民法の規定は任意規定であるため、遺言によって、建物の共有持分と借地権の共有持分をそれぞれ異なる相続人に相続させることも可能と解されています。また、特段の事情がある場合には、借地権の帰属を建物共有部分の処分に従わないとした裁判所の判例もあります。

そのため、建物の共有持分を相続させる旨だけでなく、借地権の共有持分も相続させる旨を、遺言書において明示することで、財産の帰属先を明らかにし、遺言の解釈をめぐってトラブルが起こることのないようにしておくべきといえます。

相続した建物、借地権の処分の注意点

相続人が得た建物を売却したり賃貸に出したりする場合には、建物についての権利が移ると同時に土地の借地権も移ることになるので、地主の承諾が必要となります。

なお、地主の承諾が必要な場合に、第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても地主に不利となる恐れがないにもかかわらず、借地権設定者である地主がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、借地権者の申し立てにより、裁判所は、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができるとされています。

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