相続財産が不動産しかなく、同居している長男に自宅を相続させて、長男は次男に対して代償金を支払ってもらいたいのですが、どのように記載すればよいですか?

回答

下記文例のように、遺産分割方法を指定することが可能です。

遺言による遺産分割方法の指定は、遺産分割協議をする際の基準となり、その協議が成立することによって初めて、指定した相続人に財産が帰属することになります。

第〇条 遺言者は、遺言者の遺産を、遺産分割協議において次のとおり分割するように、分割の方法を指定する。

1 遺言者が有する下記不動産は、長男が取得する。

(1)土地
所在  〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目
地番  〇〇番
地目  〇〇
地積  〇〇.〇〇平方メートル
(2)建物
所在  〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番地
家屋番号 〇〇番
種類  〇〇
構造  ○○
床面積 ○○.○○平方メートル

2 長男は、前項の遺産を取得する代償として、次男に対し、金○○円を支払う。

 

遺産分割方法の指定

被相続人は、原則自由に財産を処分できるので、遺産分割の方法についても、その内容を自由に決めることができます。

遺産分割の方法に関して、①現物分割、②換価分割(価格分割)③代償分割(補償分割)④共有があり、これらのいずれかを選択するか、もしくはこれらの併用を指定します。

現物分割とは、財産の形状や性質を変更することなく、現物のまま各相続人に分割する方法をいいます。

換価分割とは、遺産の全部もしくは一部を売却等で換価した後に、価格を各相続人に分割する方法をいいます。

代償分割とは、一部の相続人に多額の財産を取得させる代償として、他の相続人に対して代償金債務を負担する方法をいいます。

共有とする分割とは、遺産共有の状態にある特定の遺産を、複数の相続人による共有とする方法を言います。

遺言による遺産分割方法の指定は、相続開始後、相続人間で遺産分割協議がなされる際、または家庭裁判所において遺産分割手続きがなされる際に、そこでの分割の指針を指示するものです。

遺産分割方法を指定する遺言と「相続させる」旨の遺言

特定の財産を特定の相続人に「相続させる」旨の遺言も、遺産分割方法の指定であると解されていますが、遺言でそのような指定があれば、指定と異なる分割は出来なくなり、指定された遺産は、相続開始の時から相続人の共有に属することなく、相続開始と同時に指定された相続人に帰属させるとされています。

一方、前記のような遺産分割方法の指定は、相続と同時に直接指定した相続人に遺産を取得させることは出来ず、相続人間での遺産分割協議の成立や家庭裁判所での手続きの成立によって初めて、指定された相続人に帰属することになります。

つまり、遺産分割方法の指定は、相続開始後の遺産分割協議の際、または家庭裁判所での手続きの際の分割の基本方針を指示するものであり、仮に、相続人全員が、遺言による遺産分割の方法の指定を認識したうえで、それと異なる内容を遺産分割協議で成立させた場合には、その遺産分割協議は有効となります。

遺言者の意図に応じて、上記文例のような「遺産分割方法を指定」する遺言にするのか、「相続させる」旨の遺言にするのか、選択する必要があります。

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