多数の有価証券や一筆の土地、同土地上の建物を所有していますが、借金も抱えていまます。妻と長女に迷惑をかけないように、死後は、これらの財産すべてを換価して債務の弁済にあて、残金を2人に分配したいのですが、どのように記載すれば可能ですか?

回答

下記文例のように負債の処理方法を遺言で定めておき、すべての財産を換価したうえ、負債を清算した後の換価金を妻と娘に分配することが可能です。

また、相続財産の換価とその換価金による負債の弁済が必要となり、これらを相続人で行うことは難しいと考えられるため、遺言執行者を指定しておくべきといえます

第〇条 遺言者は、遺言者の有する財産をすべて換価し、その換価金の中から遺言者が負担していた一切の債務を弁済し、かつ、遺言の執行に関する費用を控除した残りの金額を妻に2分の1、長女に2分の1ずつ相続させる。

第〇条 遺言者は、この遺言の執行者として、次の者を指定する。
住 所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
職 業 弁護士
氏 名
生年月日 昭和〇〇年〇〇月〇〇日生

 

換価清算型の遺言

相続財産に負債が含まれている場合には、負債の処理方法について遺言で定めておくことは、相続後の家族間のトラブルを防ぐために有効です。

換価分割は、遺産を直接分割の対象とせず、未分割の状態で換価したうえで、その金銭を相続人間で分割する方法をいい、換価金から遺言者の債務や遺言執行費用を弁済し、残金を相続人に分配するよう定めた遺言を換価清算型の遺言といいます。

特に、不動産が含まれる場合には、その評価額や分割方法が問題となることが多くあります。上記文例のように換価して分割する方法も複雑化を避けるための方法として考えられます。

上記文例ではすべての財産を換価すると表示しましたが、特定の有価証券についてのみ換価するなど、債務の状況により、換価する対象の相続財産を指定し、その他の財産は特定の相続人に相続するなども可能です。

遺言執行者の指定

遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言執行に必要な一切の行為をする権利権限を有するとされています。

上記文例のような遺言を実現するためには、不動産の売却や預金の払い戻し等の遺産の換価処分や債務の清算をする必要がありますが、これらの手続きを相続人全員でおこなうことは困難と思われますので、遺言執行者を指定おくべきといえます。

本来、遺言書の内容を実現するには、相続人が複数人いる場合、全員が共同してしなければなりません。しかし、遺言執行者を指定すれば、遺言執行者はその地位に基づいて、遺言執行者だけで遺言を実現することができます。また、公正な遺言の実現のために、相続人は、相続財産の処分、その他遺言の執行を妨げるような行為をすることはできません。仮に相続人の1人が勝手に相続財産を処分した場合、その処分は無効になります。ただし、善意の第三者に対しては、先に登記等の対抗要件を備えた方が優先するとされています。

上記文例の場合、遺言執行者は、単独で、不動産の売却をし、債務を調査して弁済する権限を持ちます

遺言執行者には、未成年者及び破産者はなることができませんが、それ以外、つまり相続人や受遺者、法人も遺言執行者に指定することができます。

相続人間で争いが起こると予想される場合や、相続の内容が複雑である場合は、法律専門家である弁護士を指定するのが相当であるといえます。

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