遺言書が無効になるのはどのような場合ですか?
回答
遺言の内容に誤りがある場合や、不明確な記載がある場合には、その内容に効力が認められないとされる可能性があります。また、法律上、有効な遺言書であるとする要件や手続きが定められており、これらに従っていない場合は、遺言書そのものが無効になります。
公正証書遺言の場合は、公証人が、その要件を満たすかどうかを慎重に確認しながら作成作業を進めるため、無効になるリスクは非常に低くなります。
しかし、直筆証書遺言の場合は、内容を他の人が確認することなく作成される場合が多いので、無効になる可能性が高くなります。
法律上、遺言書そのものが無効となる場合は、以下のようなものがあります。
遺言書が無効となる場合
♦直筆証書遺言において法定の手順が守られていない場合
遺言書の全文、日付、署名は全て被相続人が自分で書く必要があります。(財産目録については、要件が緩和され、目録の記載が直筆でなくとも、パソコンのワードなどで作成した目録のページごとに署名押印をすることで足りることになりました。)
また、遺言書に日付がないだけでも、日時が特定できない遺言書は無効とされます。
♦2人以上の共同で書いた遺言書
1つの遺言書に2人以上の人が遺言を書いている場合、その遺言書そのものが無効となります。遺言書は1人ずつそれぞれが作成する必要があります。夫婦共同の遺言書などは作れません。
♦遺言者の遺言能力に問題がある場合
満15歳以上で遺言能力があれば遺言書を作成することができます。
たとえば、遺言者が生前認知症であった場合など、遺言能力の有無が問題となる場合があります。
遺言能力があるかどうかは、様々な事情を考慮して判断されます。認知症などの病状により遺言能力が問題となる場合は、主治医の診断書などが重要となります。
♦錯誤・詐欺・強迫により作成された場合・公序良俗違反にあたる場合
錯誤や詐欺、脅迫されて書いた遺言は取り消すことができます。また、内容が公序良俗に反している場合は、無効となります。
例えば、遺言者の不倫相手に遺贈する内容の遺言書が、不倫関係の維持を目的として書かれた場合には、無効となります。