遺産分割調停の具体的な流れや進め方は?
回答
相続人間での遺産分割協議では、協議がまとまらないことが多くあります。その場合は、遺産分割調停の制度を利用します。
遺産分割調停では、裁判所の調停員と裁判官が間に入り、各相続人の主張を聞き、公平かつ客観的な視点で意見を述べるなどして、話し合いを進めてくれます。調停において、相続人全員が合意できれば、その内容で調停調書が作成され、遺産分割協議が成立することとなります。
以下、具体的な流れを説明いたします。
遺産分割調停の具体的な流れ
♦遺言の有無の確認
被相続人が生前に遺言を残していた場合は、その内容に従うのが原則とされています。
♦相続人の範囲の確定
遺言がない場合は、相続人全員による遺産分割協議により遺産分割の方法を決めていきますが、遺産分割協議の際に、一人でも相続人が欠けていた場合は、協議内容は全て無効となり、協議をやり直す必要があります。
そのため、遺産分割協議を行う前に、相続人は誰なのか調査し、確定する必要があります。
♦相続財産の確定
次に、遺産分割協議を進めるために、どのような相続財産があるのか調査し、相続財産を確定する必要があります。
♦遺産分割協議の開始
相続人と相続財産などが確定したら、相続人全員で、誰がどの財産を相続するのか、遺産分割協議を進めていきます。
協議によって遺産の分配について相続人全員の合意が得られた場合は、遺産分割協議書を作成して書面に残しておきます。
♦遺産分割調停の申し立て
遺産分割協議で合意に至らなかった場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申立てます。
1.遺産分割調停申し立てにかかる費用
被相続人1人につき1200円分の収入印紙と、当事者の人数に応じた裁判所からの連絡用の郵便切手代が必要です。
連絡用の切手は、申立先の裁判所によって金額や内訳が異なりますので、管轄裁判所に確認する必要があります。
2.遺産分割調停申し立てに必要な書類
◆作成する書類
・遺産分割調停申立書
・当事者目録
・遺産目録
その他、事情説明書や資料説明書などの提出を求められる場合があります。
◆準備する添付書類
・被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本
・被相続人の住民票除票または戸籍の附票
・相続人全員の戸籍謄本(3ヶ月以内)
・相続人全員の住民票または戸籍の附票
・遺産に関する証明書(固定資産税評価証明書、不動産登記事項証明書、預貯金通帳の写しや残高証明書等)
なお、これらの書類の他、事案に応じて必要なものがありますので、裁判所HPをご覧いただくなどしてご確認ください。
♦調停期日への出頭、話し合い
申し立てが受理されると、裁判所によって調停を行う日(期日)が決定され、申立人と相手方に通知が届きます。期日に、裁判所に出頭し、話し合いを行います。
申立人は申立人待合室に、相手方は相手方待合室で待機し、順番に調停室に入って、調停委員に自分の主張を伝えます。初回と最終回のみ、手続説明などのため、当事者全員が同席する場合があります。
話し合いがまとまり、調停が成立するか、調停が不調に終わるまで、期日は継続します。
♦調停の成立または不調
調停において、相続人全員が合意できれば、その内容で調停調書が作成され、遺産分割協議が成立することとなります。
調停でも合意できない場合は、遺産分割審判となり、相続人と主張と立証資料をもとに、裁判官が適当な分割方法を決定します。
遺産分割調停を上手に進める方法
遺産分割調停においては、裁判官や調停委員に対し、自らの考えを正しく伝えて理解してもらうことが重要です。
このような裁判手続きにおけるコミュニケーションは、専門的な知識や経験が必要なところですので、遺産分割調停を多く経験している弁護士に調停対応を依頼することをお勧めいたします。