寄与分がある場合の遺産分割はどのように進めればよいですか?

回答

寄与分の算定方法は、原則として共同相続人間の協議によって決めることとなります。

寄与分を明確に金額に換算することは難しいため、寄与分を主張しても遺産分割協議が整わない場合が多くあります。その場合は、家庭裁判所に申し立てをして解決を図ることになります。

 

寄与分の主張

寄与分とは、相続人の中に、被相続人の財産の維持または増加に対し、通常期待される程度を超える貢献(寄与)をした人がいる場合、他の相続人との公平を図るために、その貢献をした相続人に対し、寄与分を相続分に加えた財産を取得させる制度です。

寄与分を認めてもらいたい場合は、遺産分割協議において、被相続人に特別な寄与があったことについて主張する必要があります

他の相続人に寄与分を請求し、寄与行為の期間や、どれくらいの金額に換算するのかなど寄与の算定方法についても、相続人間で話し合って決めることになります。

 

寄与分の主張が遺産分割協議で認められなかった場合

寄与分を明確に金額に換算することは難しいため、寄与分を主張しても遺産分割協議が整わない場合が多くあります。その場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申立て、遺産分割調停にて寄与分を主張していきます。

調停において寄与分を主張する際、寄与分を主張する相続人が、被相続人に寄与したことを証明する具体的な証拠資料を裁判所に提出する必要があります

例えば、被相続人の介護や身の回りの世話をしていた場合、介護への貢献の内容や期間などを記録した介護日誌や、要介護認定の書類や診断書などを証拠として準備する必要があります。

家庭裁判所においては、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して寄与分を算定するとされており、広範な裁量に委ねられています。

 

面倒を見てくれた相続人に財産を多く渡したい場合

「相続人の寄与分は○○円とする。」「寄与分として遺産の〇割を与える。」など、遺言において寄与分について定めたとしても、法的効力はありません。

面倒を見てくれた相続人に財産を多く相続させるためには、遺言書を残し、遺贈や相続分の指定により、多く相続させる旨の記載をしておくこととなります。

ただし、遺贈や贈与が他の相続人の遺留分を侵害する内容であった場合、遺留分侵害額請求により、金銭の支払いを求められ、紛争となる可能性があるため、注意が必要です。

 

相続人でない親族の寄与

従来、寄与分を請求することができるのは、相続人に限られていました。

しかし民法改正により、2019年7月1日から、子の配偶者などの相続人ではない親族が、無償で被相続人の療養監護などをし、被相続人の財産の維持または増加について特別な寄与があった場合に、相続人に対して、寄与に応じた額の金銭の支払いを請求できるようになりました

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