寄与分はどのような場合に認められますか?
回答
寄与分が認められるには、①相続による寄与があること②寄与行為が「特別な寄与」であること③被相続人の財産の維持または増加があり、寄与行為との間に因果関係があることの3つの要件を満たす必要があります。
寄与分が認められる要件
♦寄与が認められる人
寄与分が認められるのは、原則として法定相続人のみです。
相続人以外の第三者が相続人に特別な貢献をした場合であっても、寄与分は認められません。
ただし、相続人以外の被相続人の親族について、被相続人に対する特別な寄与がある場合は、その遺産を相続した相続人に対して寄与に応じた金銭の支払いを請求することができるとされています。
♦寄与分が認められる要件
・「特別の寄与」であること
被相続人と相続人の身分関係に基づいて通常期待されるような程度を超える貢献である必要があります。つまり、夫婦の扶養義務や子どもの扶養義務の範囲を超えた、通常期待される以上の貢献をした場合です。
・相続人の財産の維持または増加
多大な貢献をしていたとしても、被相続人の財産の維持または増加が認められない場合は、寄与分は認められません。
また、相続財産の維持または増加などの財産上の効果がない、精神的な援助については寄与分として考慮されません。
♦寄与行為の類型
具体的に以下のような行為が寄与行為にあたります。
1.家業従事型
被相続人が行っていた事業(農業や商工業)に従事することによって、寄与が認められる場合があります。
具体的な要件は、以下の4つです。
・無償性(報酬が発生しないもしくは非常に少ない給料)
・特別の貢献(寄与行為により被相続人の事業が成功して財産が増えたり、維持することができたような特別な貢献があった場合)
・継続性(長期間にわたる従事)
・専従性(片手間で行っていないこと)
寄与に対して相当な対価の支給を受けていたり、従事していた場合でも被相続人の事業が成功して財産が増加または維持するようなことはなかった場合は、寄与行為として認められません。
2.金銭等出資型
被相続人に金銭を給付していた場合は寄与行為にあたります。
例えば、不動産の購入資金の援助をしていた場合や、被相続人の借金返済のために金銭を給付していた場合があります。また、医療費や施設入所費などを負担していた場合もこれにあたります。
3.療養監護型
被相続人の療養介護を行い、被相続人の監護費用等の支出を免れさせるなど、相続財産の維持に寄与した場合は寄与行為にあたります。
具体的な要件は、以下の5つです。
・療養看護の必要性
・無償性(報酬が発生しない)
・特別の貢献(医療費等の支払いを相続人が行い、被相続人の財産を維持した場合)
・継続性(長期間にわたる療養介護)
・専従性(片手間で行っていないこと)
介護の必要性があまり高くない被相続人と同居し、家事の援助を行っていいた場合など、通常の身分関係から当然期待される程度の療養介護であれば、寄与とは認められません。
3.扶養型
相続人が被相続人の扶養を行うことで、被相続人が生活費等の支出を免れ、相続財産が維持された場合は寄与行為にあたります。
例えば、毎月仕送りをしていた場合や、同居して衣食住の面倒を看ていた場合です。
ただし、夫婦や直系血族、兄弟姉妹は互いに扶養する義務があり、通常の扶養の範囲を超える特別な貢献が必要です。